新月に明く藍色

日々。海と猫が好き。

大切なひと



明るくて、セリフ一つ一つがユーモアあって愛が溢れてる映画。
それぞれの複雑なところを(上下関係や、離婚など)チャンスだろ、頑張れよ。いい気はしないけどな!と主人公が笑って許すとことか、絆の深さが暖かくて、ユーモアがあって明るい映画。

1人で漫画を書く主人公が、今は離れてしまったかつての故郷の友達を想う映画。


今日、ビデオ屋にシェフを返しに行ったついでに本屋さんに立ち寄った。

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すると、寺山修司と一つ違いの友人である脚本家の山田太一さんとの手紙のやり取りを綴った本が。

寺山修司は最後に近い時に、友人になんて言葉を遺したんだろう?とふと気になって立ち読みした。
大学生の時に、寺山修司20歳、山田太一19歳で出会ってから仲良くなった2人。
だが、社会人になり、お互いの忙しさで不思議と晩年は疎遠になっていた。
ある日、急に寺山さんから
「いつか会えないか。君に会いたい。」と連絡があり、それから頻繁に電話がかかってくるようになった。
久々に家まで会いにきてくれた時に、
「どうも調子が悪くてね。今回ばかりは駄目そうだ。」
と、もたついた足取りで家の階段を登る様子に、かつて良くそんな冗談を言っていた寺山さんが今回ばかりはいつもとは勝手が違うと感じたらしい。
家で、色んな書物を手にしては、
「これは良く読んだな。これは良かった。君は読んだか?」
と話しかける寺山さんに、懐かしいあの頃と似た状況に、久々に会えた嬉しさと郷愁と、寺山の弱々しい様子に胸が苦しくなったと山田太一さん。


人は、現在は色んな出来事で離れていても、自分が最後の時に大切なひとに会いたくなるんだなあと胸が苦しくなった。
寺山修司さんは生涯、独身だったらしい。


私も故郷を忘れないし、今でも好きだ。
それぞれに目指すところや、しなければいけないことで離れていても、いつかはまた再会した日には普通にあの時の楽しい時間を過ごす。


そうであって欲しいと、心の片隅に少しだけ想うようにしている。
時に難しい時もあることも知っているから。

そして、今後もだれか大切なひとに出会いたいなあと感じた。
一人で、知らない土地に行くということは、
そのことも一人で来たハンデのひとつ。


私もユーモアのある、心優しい人になりたい。
ハンデも笑い飛ばせる余裕がある人になりたい。



私は最後の時に誰に一番会いたくなるだろう?
近くの公園で、コンビニのカフェオレ飲みながらしみじみ考える。
そして、熊大病院辺りで、無職で晩年は友達が離れて孤独にろくな暮らしをしていないおばあさんになるデジャヴみたいな夢通りになりたくないなあと。

そんな休みの日。